Unm

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Midnight Blue



 ふう、と息を吐いて読んでいた本に栞を挟む。思ったよりもずっと集中していた様で、読書のお供にと持ってきたミルクティーもクッキーのこともすっかり忘れていた。なみなみにミルクティーを注いだ、お気に入りのマグカップにはちょっと嫌になるくらいに水滴が纏わりついている。背後の壁にかけてある時計を振り替えれば時刻は深夜3時をまわっている。
 なんとなく、このまま眠ってしまうには惜しい気分になって僕は立ち上がる。ミルクティーとクッキーを適当に冷蔵庫にぶちこんで、玄関に向かった。一人暮らしというのはこういう時に都合がいい。廊下に落ちていたキャップを拾って深めに被る。玄関脇にかけてある鍵を手にとって踏み出した深夜の空気は思っていたより生ぬるい。

 「さて、どこへ行こうか」

 見上げた空はまだまだ暗い。先ほどまで読んでいた小説の中では、主人公が想いを寄せる相手に向かって夏空を彩る星について滔々と語っていたがあいにく僕に星の知識は全くなかった。主人公が力を入れて語っていた夏の大三角も何も僕にはどれがどれだかさっぱりわからない。
 それでも、わからなくてもただ見上げて星を眺めて歩くのも悪くない。うっかり流れ星でも流れてこないかなんてちょっと期待をしながらあてもなく歩いていく。

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あまりにも知りきれトンボですが、、、
いつかちゃんと続きも書きたい、、、

8/23/2025, 9:44:38 AM