猫灘

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生きる意味

先輩が目を覚ました!
良かった、良かった!
あの時、二人で笑いあったと思ったら固まったまま動かなくなった時は驚いた。最近ボディの調子が悪いと言っていたからそれで動けないのかと思ったが何度話しかけても返事はなくおかしいと思った。
管理者に連絡をしメディカルルームへ連れて行ったらチップの劣化による意識の混濁が起きてるという。
直るのかと聞けば新しいメモリチップにデータをインストールすればなんとかなるだろうが、破損している部分がある場合はどうにもならないと言われた。
とりあえずそのままチップの交換を頼み自分は先輩が目を覚ますまでそばに居ることにした。
時間にしたら数時間しか経っていなかったが何日も待っているような気持ちだった。
先輩が目を覚ました時は驚いたし嬉しかった。
おまけでボディの不調も直すらしい。
それも含めて嬉しかった。
つまりこのさき何十年は無事だということだ。
嬉しい!嬉しい!
思わず目から涙が出てくるところだった。
こんな恥ずかしいところは先輩に見られたくない。
慌てて病室から飛び出して現場管理者に通信する。
「もしもし、先輩大丈夫そうでしたボディの交換も行うらしく三日は入院だそうです」
「そうか、ジャンクになるのを選ばなくてほっとしたよ」
「ジャンクって……今どきそれを選ぶの居るんですか」
「昔にな、あいつの先輩で居たんだよ。それでひどくあいつは気にしててな」
「そんなの先輩の所為じゃ」
「それでも気にしてたんだよ、まあ良かった」
お前は清掃に戻ってこいよと言われ「はい」と返事をして終わった。いつか言っていた先輩の先輩の話だろうか。
こんなに楽しい人がいるのにジャンクになるなんてなんて勿体ないと思うのだった。

4/28/2023, 6:13:25 AM