彼と過ごした日々は確かに楽しいものだったはずなのに、その全てを思い返すことは出来ない。
人間の記憶量の限界。
一体幾つ忘れまいとした出来事をメモリから消してしまったのだろう。
数えようとしても、零れ落ちたそれを計測することは出来なかった。
忘れたくない。そう願っているはずなのに、どこかこれでいいと考えている自分も居る気がしている。
過ぎ去った日々にも想いを寄せて。
たとえ時間に溶けてしまった記憶があったとしても、それは確かに存在していた。
消えない気持ちは奥底に残っている。
そんな虚像すらない思い出に浸ることもまた一つの楽しみで。
過去に捕らわれることも、たまには悪くない。
【過ぎ去った日々】
3/10/2023, 5:56:27 AM