「ねぇ、これ、さいごじゃないよな」
ひらがなで書かれたもののように言葉は連なって、それがやけに子供じみていて、自分でも驚いた。
「うん、あっち行っても定期的に休みとか年末には帰ってくるし。」
一生の別れじゃない。わかってるんだよな。そんなこと。でも、でも。
「さみしいんだ」
思いは素直に喉から滑り落ちた。
「うん、俺も。」
春が来る。暖かく優しい季節。喜びと寂しさを合わせた別れを告げるように区切りの季節が自分たちにも訪れた。
「連絡、取り合おうな。」
寂しいけれど悲しくは無い。
「あぁ。着いたら早速LINEでも送るよ。」
「うん。じゃあな。」
じゃあ、今日はいつもと違うところで、少しだけ長い離れた月日に思いを込めて言おう。
「バイバイ」
いつものように変わらぬ笑顔でまた会おう。
「うん、バイバイ」
手を振る。寂しさを隠すように。
また会うために。
手を振る。手を振る。
―――春
お題【byebye】
3/22/2025, 3:33:20 PM