時刻は6時
この世には存在しない筈のものと人が入り交じる時間帯
夕陽が眩しい
海の向こうへ落ちていく太陽の光が
今日はやけに眩しく感じた
目を細めながら歩いていると、
ふいに、誰かとぶつかった
「すいませんっ」
切羽詰まったように謝るその人の声を、
何処かで聞いたことがある気がする
知り合いなのか
確認しようとも、西日が強く顔が見えない
そんなことを考えているうちに
俺の無事を確認したその人は
「じゃあ」
と言って立ち去ろうとしていた
「まって、待ってください!」
大事な人だった気がした
好きだった気がした
ずっと一緒にいたい。そう思ったことがあった気がした
「あなたはー」
夕方6時
この世にはいない筈のものと人が入り交ざる時間帯
その時間のことを、
『誰そ彼』
と人は呼ぶ
10/1/2024, 10:38:00 AM