indifference

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「沈む夕日」


今日、この夕日が沈んだら大好きなエミリアちゃんとはお別れをしなければならない。

私の親友のエミリアちゃんは、父の海外出張でこの日本にイタリアから訪れた15歳の女の子だ。

日本人の私とは違って堀が深くて、同い年とは思えないくらい美人だ。

母が日本人らしく、小さい時、2年ほど日本で暮らしてたらしい。日本語も話せて、2言語を使いこなすバイリンガルだ。

私たちは毎日のように一緒に遊んでいた。

こんなに友達と遊んで楽しいと思うのは、後にも先にもエミリアちゃんだけだと思う。

ただ、短期の出張で、ほんの数週間でイタリアに帰る予定だったのだという。

それを知ったのは、イタリアに帰る前日だった。

家族同士で仲良くなった私たちは、急遽お別れ会を開くことにした。

日本を経つ前日ということもあり、夕日が沈んで午後8時を過ぎたら解散という、規模の小さなお別れ会だ。

私たちの家は、徒歩圏内に海があり、エミリアちゃん家族とご馳走を食べたあと、2人で夕日を眺めて過ごしていた。

エミリアちゃんの「夕日が海に沈むのを一緒に見たいな。」

という望みを叶えるべく、せっかくのご馳走も味あわずに、2人でかきこんだ。

この夕日が沈めば、もう、二度と会えないのかもしれない。

悲しくて涙が溢れてきた。

本当にいつも楽しくて、こんなに早い別れだとは想像もしていなかった。

そんな私に気づいて、エミリアちゃんは、

「私も別れたくないよ。でも、今日の思い出も、今までの思い出も、海に沈む夕日を見て、あっ!すっごい楽しかったんだっ!て思い出そうよ!大丈夫だよ!一生の別れじゃないんだしね!それに、絶対忘れないよ!!」

嬉しかった。

今までの思い出も一緒に持ち帰って、忘れないでいてくれると約束をしてくれるエミリアちゃんが、心の底から大好きだと思った。

私たちが今日見た別れの夕日は、息をするのも忘れるほどに美しかった。

私も絶対に忘れない。また会おうね、、、!!!!








そして10年後、私たちは偶然海辺で再開した。あの日沈んだ夕日に思い出をのせて。運命の糸で、結ばれているかのように。







4/7/2024, 3:53:53 PM