『心だけ、逃避行』
社畜真っ最中の奥山 充(おくやま みつる)は、疲労困憊で今日もベットで眠りにつく。
眠る前にホットミルクを飲み、目覚ましをセットして深く、落ち着いて呼吸をする。
暗闇の中。とても静かな空間。疲れた体がベットに沈んでいく。この感覚は……もう睡眠確定演出だ。そう認識した奥山は、また体の力を抜く。
すると!!!
「っ!!!!!」
ズルっと落下する感覚に落ちたと同時に、目を開けるとそこは…宇宙…だった。
「……は???????????」
頭がハテナまみれで、あ。これは夢なんだ。とすぐ認識した。だって、宇宙空間なのに普通に呼吸はできるし、鳥のように、飛行機のように色んなところに飛べるしで、普通に現実的にありえないような事ができるからだ。ていうか、寝ていたら急に宇宙ってのも変な話だが。
宇宙にふわりふわりと浮かびながら、星々を眺める。宇宙というのは、普通真っ暗な闇の中で、我々が地球上で見ている星というのは地球上の大気の揺らぎによって星が瞬いて見えているのであって、宇宙空間には大気がないため見えることは無い。
何もない真空なので反射する物がない上に、光はまっすぐ通過していってしまう。なので、私達の目に戻ってくる光がないので、宇宙空間は黒く見えてしまうのだ。
それなのに、奥山の見ている景色は銀河の星々。辺り一面、綺麗な星達。
そんな星々にうっとりして、ふわふわ浮いている。
「はーあ…綺麗すぎるわ…これが宇宙か…まぁ普通だと暗いとは思うがこれは夢だし…幻想的でめっちゃ気分がいいや……」
頭に腕を組んで眠るような体制をとる。夢の中でもまた寝ようとしている。
奥山が欠伸をして宇宙空間の真ん中でウトウトしていると、1つの光が差し込んできた。なんだよ…と、目を細めてそれを見つめる奥山。
「……おぃ…なんだアレは…人か!!!???」
それは、宇宙船だった。宇宙船で宇宙を探索している宇宙飛行士達で、変なものが浮かんでいるとして、それに近付いたらしい。
「に…人間……!?!?」
船員は全員驚愕していた。え、なんでこんな宇宙の真ん中に人がいるんだよ!?こ、これエイリアン!?皆が驚いてる中、奥山も驚いていた。
しかし、夢だと本人は思っているので、すぐに冷静になって宇宙飛行士達に手を振った。
「うわぁ!!手を振ったぞ!!なんだアイツは!!」
驚く宇宙飛行士達を尻目に、奥山は明るいから宇宙船から離れようとする。しかし、追いかけてくる宇宙船。流石にずーっと追っかけてくるので鬱陶しいと感じた奥山は宇宙船に回り込んで、宇宙船の視界を逸らした後に、宇宙船の下に隠れる。
そしてそのまま、宇宙の下に沈むように下っていく。まぁ、下ったところで無限に近い宇宙には、床なんてものは無い。
宇宙船が見えなくなるほどまで下に沈んで、やっと星々を見ながらゆっくりできる。欠伸をして、眠りにつく奥山。
気が付くと、自室のベッドだった奥山はやっぱり夢だったなと思った。そりゃそうなんだが。
ふと、あれ?目覚ましが聞こえてこなかったなと思って時計を見ると、なんと朝の九時半!!!出勤時刻は七時半だぞ!!大遅刻だ!!
めっちゃ慌てまくって電話をする奥山。
「すいません…風邪で電話が遅れてしまい…今日休ませていただきます…はい、はい…」
すぐ行きます…の報告の電話かと思いきやただの休みを入れる電話だった。
電話を切り、のびのびとする奥山。
「うーん…休みも取れたし…今日金曜で明日土日だからゆっくりでもするかぁ…」
そう言ってリビングに起きてテレビをつける。まだ、朝のニュースが流れていたが、そこで驚きの光景を目にしてしまう。
『数日前に人型の何かがつ中で蠢いていたとして、宇宙船ZERO HEAVEN号が地球に映像を送りました。こちらの映像は……』
映像に映ってる俺は、奥山に似てるような見た目をしていた。頭に腕を組んで、寝ているようにも見える。つーか対して蠢いてなかったのに、蠢いてるとか言われてなんか変な気持ちになった。俺は無視じゃねーっつーのって奥山は思った。
じゃあ…あれは、夢じゃなかったのか?
なんなんだ?幽体離脱?なにこれ?どういうこと?
とりあえず…奥山がとった行動は、考えないことだけだった。
彼はネットショッピングで家庭用プラネタリウムを購入することを決意した。
7/12/2025, 1:16:09 AM