「夢見る少女のように」
(※6/6 「さあ行こう」の続き)
仕事を終え、帰宅。
仕事着を脱ぎ、部屋着に着替えて適当にご飯を食べてシャワーを浴びて寝る。
明日も仕事、だるいな。行きたくないな。ずっと寝ていたい。そんな事を考えながら目を閉じる。
すると昨日と同じ夢を見た。
「さあ行こう。」 夢の中の王子様が優しく手をさし出す。
「…昨日は、帰ってしまったからね。」
王子様が続けて言う。
私は一瞬、王子様の手を取るのを躊躇った。
昨日…?どうして夢の中なのに昨日の話が出てくるの?
私はよく分からない不穏な空気を感じた。
「…あの、王子様。あなたは一体、誰なんですか?どうして昨日の事を?」
「ん?僕は誰でもない。君が生み出した夢の中の王子様だよ。君はただ何も考えず、夢見る少女のままでいればいい。さあ、僕の手を取って。」
王子様が強引に私の手を掴んだ。彼の顔には不気味な笑顔が張り付いていた。
「や、やめてっ!!!離して!」
「どうして?僕と一緒に行けばもう嫌なことをしなくて済む。ずっと夢の中にいよう。君は、夢見る少女なんだから。」
必死に抵抗するがビクともしない。だんだん私は夢の中で意識を失っていく。
「お姉ちゃん……早く起きてよ。」
私は病室で眠る自分を俯瞰している。
妹が私の手を握って泣いている。
いつになったらこの夢から覚めるのだろうか。
私はあの日から夢の中に囚われてしまった。
早く、現実に戻りたいよ。
6/7/2025, 11:02:41 AM