104.『時を止めて』『冬支度』『灯火を囲んで』
最近ネットではタヌキの話題で盛り上がっていますね。
あちらこちらでタヌキの可愛い画像が見られるようになったので、いちタヌキファンとしてとても喜んでおります。
タヌキの時代が来たと言っても過言ではありません!
この素晴らしき日を祝福し、今日はタヌキに関する豆知識をお教えしたいと思います。
マル秘情報ですよ。
一回しか言いませんので、よく聞いてくださいね。
タヌキは時を止める事が出来ます。
……ええ、『何言ってんだ、こいつ』という目線は想定済みです。
初めて知る方は、いつもその目をされます。
ですが嘘ではありません。
よく思い出してください。
タヌキのどんくささを……
走るのが遅く、木登りは苦手、狩りもヘタクソ。
令和の時代になっても絶滅していないことが、世界七不思議に数えられるほどのどんくささ。
今でこそ萌えポイントではありますが、そんなタヌキがどうして生き残っているのか、疑問に思った事はありませんか?
そうです。
その生き残る術が、『時止め』なのです。
時を止めて自身の不器用さを補い、狩りを行っているのです。
例えば、こんな経験はありませんか?
友人たちと、わいわい灯火を囲んで盛り上がっている時のこと。
楽しい時間を過ごしている最中、ふと気づけば手元にあった食べ物が無くなっていることに……
無意識で食べたのだろうと思いがちですが、それは間違いです。
そう、これはタヌキが時を止めて、こっそりと拝借している証拠なのです。
そうして誰にも気づかれず食べ物を得るのが、タヌキの狩りなのです。
では時を止めておける時間は、どれくらいでしょうか……
仮説の域を出ませんが、およそ10分くらいです。
え?
長すぎる?
いえいえ短すぎるくらいです。
なんども言いますが、タヌキはどんくさいのです。
時を止めることが出来ても、タヌキが俊敏になることはありません。
獲物に近づく前に、時が戻ってしまう事が多くあります。
どれだけ時間があっても、ダメな時はダメなのです。
一説によると、狩りの成功率は3割ほどらしいです。
さらに、時を止めると言う、奇跡とも言うべき所業は簡単ではありません。
時にベテランのタヌキですら失敗することがあります。
こんな経験はありませんか。
ある時、あっという間に時間が過ぎ去ってしまった事は?
それは未熟なタヌキによって、あなただけ時が止まったからです。
あるいは、いつまで経っても時間が経たず、うんざりしてしまった事は?
それは雑なタヌキによって、あなた以外の時が止まったからです。
また、秋の夜長もタヌキが原因です。
厳しい冬に備えるために、秋は活発(当社比)に狩りを行うからです。
のんびり屋のタヌキも、冬支度だけは手を抜きません。
そしてタヌキは夜行性なので必然的に夜に時間を止められることが多く、人間目線では秋は夜が長いと感じてしまうのです。
これで信じて頂けたでしょうか?
タヌキは時を止められます。
これは事実です。
ああ、一つ言い忘れていました。
それは狸寝入りについてです。
巷では、『ビックリして動けなくなっているだけ』と言われますが、それは違います。
ここまでお読みいただいた皆さんならお分かりかと思いますが、タヌキが間違えて自分の時を止めてしまっただけなのです。
のんびり屋のタヌキは、突然のハプニングには弱いのです。
もし狸寝入りをしているタヌキを見かけたら、暖かい目で見守って下さい。
タヌキは脅かさないようにしましょう。
もしご友人の中に、タヌキの『時止め』を知らない人がいたらぜひ教えてあげてください。
タヌキにより一層興味を持ってくれるはずです。
タヌキの魅力を多くの人に広め、後世に伝えていきましょう。
最後に。
タヌキは基本的に野生動物です。
近すぎず離れすぎず、適切な距離を心がけましょう。
ストレスになるので、触ってはいけません。
写真で我慢しましょう。
これを読んだあなたが、よきタヌ活を送れることを心から願っています。
※この文章はフィクションです。
実在の人物・団体・タヌキとは一切関係ありませんが、タヌキの愛らしさは真実です。
LOVE & TANUKI !
11/12/2025, 10:29:10 AM