菜な子

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「「こっちだよ」」
そう言った君の声は、暗がりの中、響いて
よく聞き取れない。
だけど、白い君の手が見えたから、私は思い切って手を伸ばした。
ぎゅっと握った君の手は、私の手を強く、強く握りしめている。
爪がくい込んで、痛い。
君は何も喋らない。
ただ、君がこっちにしっかりと
向き直したのが分かった。
何か、おかしい。
そう思った時にはもう、私は君_のようなナニカに
抱きしめられていた。
大きくて
痛くて
冷たい。
なんなんだろう。
背中がぞくぞくする。
あれ、これ…もしかして、私…死ぬの…?
あれ、あれ、
あれ、あれ、?
私の意識は、
暗がりの中に堕ちていった。




「暗がりの中で」

10/28/2022, 1:15:39 PM