『落ちていく』(創作)
冬の冷たい暗闇の中、スマホのぼやけた明かりがチラチラと動いている。暖房器具のない部屋の空気は、静けさの象徴のようにキンと研ぎ澄まされているのに、スマホのぼやけた明かりだけが何やら現実味を帯びた温もりのようだった。
僕は毛布に包まったまま眠れずにスマホを見ていた。
眠ろうとして灯りを消した後、眠れずにベッドの中でスマホの操作をするなんて、ごくありふれた、よくある風景だろう。スマホ操作が眠りの妨げになるのは重々承知だったが、そんなことはどうでもいいのだ。
チラチラとしたぼやけた明かりを見ているうちに、僕は眠りに落ちていく。
『ああ、今夜も寝落ちしちゃうかもな…』
立て続けに寝落ちしてしまう僕の信頼も、落ちていくだろうけれど、まどろみの縁にいる僕には、もうどうすることもできやしない。
(End)
11/23/2024, 3:13:15 PM