NoName

Open App




僕はよく泣く。

悲しくても、嬉しくても。

特に君の言葉は、僕の胸を強く揺さぶるから。

君は、僕からすれば怖いくらい真っ直ぐでぶれない人だから。
そんな君の隣に、僕なんかがいても良いのかな、なんて。
いつも不安で、不安ばっかりの自分が嫌いだから。
君もこんな僕なんて、嫌いになるんじゃないかって。

だから、君といると、僕は泣く。
悲しくて、嬉しくて。

「もう、泣かなくても良いってば」

そう言って、涙が止まらない僕の頭をクシャクシャと撫でる君の声は、呆れ気味。

でも。

「そんなとこも、可愛いけどさ」

なんて、彼の言葉に俯いていた顔を上げれば、唇にそっと、キスを落としてくれるから。

やっぱり、僕は泣く。
嬉しくて、嬉しくてたまらなくて。

そして。
涙ながらに、僕は彼へと。

「っ、ありがと、うっ」

すると、満足そうに笑う彼は。

「うん。やっぱ、お前の笑顔はもっと可愛いよ」

と、また涙が溢れる僕の頭をワシャワシャと、撫でるのだった。


End

3/30/2025, 2:22:40 AM