俺の足の間におさまっておとなしくブラッシングされている君は森に住むおだやかな動物のよう。
最初こそ自分で適当にやるとか人形じゃないんだからと言って嫌がっていたけれど、今は気持ちよさそうにうとうとしている。
花の香りがするふわふわな髪。ずっとこうしていたいけど時間がいくらあっても足りなくなってしまう。
「さて、そろそろ。」
「…ん。おわったのか。」
「ブラッシングはね。今度は三つ編みをするよ。
かわいいアレンジを見つけたんだ。」
え、いや、もう、と何やらごにょごにょしていたが
また俺に背を向けた。そうそうそれでいい。
「かわいいお人形さん。これにしてもいい?」
「…うん。それでいい。」
良い休日だ。なんてことない会話。やさしい沈黙。
こういう日常。
それでいい
4/5/2024, 3:56:06 AM