可惜夜

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初恋の日
それは、蝉が鬱陶しいぐらいに鳴いていた頃だった。
教室のベランダに立っていて、生暖かい風が頬を掠った。
部活をしている人たちが見え、ぼおっとしながら見ていたらある人と目が合った。幼い頃から一緒にいた人。その人は、ベランダにいる自分に笑いながら手を振っていた。



今まで何度も告白まがいなことをされ、意識していないと言われれば嘘になるけど、完全に“好き”というわけじゃなかった。

だけど、でも、

突然、某VOCALOIDの歌のように

      “恋に落ちる”音がした。

そこまで熱くなかった頬は急に熱くなって、あの人の笑顔が輝いて見えた。

熱い頬を隠したいところだけど、せっかく手を振ってくれたのに返さないのは悪い気がしたから、顔を隠しながら手を振った。
あの人は友達に呼ばれたみたいで、もうそこにはいなかった。


あの人に見られたかはわからない。でも、そんなことを考えるよりも、この顔の熱さを誤魔化すのに必死だった。
ていうか、




笑顔の破壊力やばすぎ

5/7/2023, 12:04:53 PM