君と見た虹
灰色の空に滲む微かな光。
指先に触れた刹那、
氷のような温度が、
胸を締めつけた。
「虹が出ていますね」
微笑む君の声は、
余りに遠く、酷く儚い。
七色の橋が架かるたび、
私たちは同じ夢を見た。
けれど、君は、
知っていたのだろう?
虹は決して、
触れられないものだと。
君の瞳に映る色彩は、
静かに、静かに、
闇へと溶けていく。
そして君は、横たわる。
糸の切れた、
操り人形のように。
頬を伝う雨粒。
差し伸べた私の手は、
もう何も、掴めなかった。
──君と見た虹。
私の心には、
今もあの日の、
虹が残っているのに。
ならば、
君と見た虹の想い出ごと、
この胸を銀の刃で
壊してしまおう。
独りで生きるには、
この世界は、
あまりに残酷だから。
2/23/2025, 9:14:10 AM