霧夜

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自分の理想の景色を見るためには、楽な道だけではダメなのだ。

...だから、俺は一生懸命努力をしてきた。

何度も滑り落ちそうにもなったし、何度も途中で倒れそうにもなった。

途中で引き返すことだって何度も考えた。

それでも、俺は登り続けた。

最高の景色を見る為に...兄が登り詰めた場所へと行く為に、そして、両親に認めてもらう為に。



...けれど、やっぱり俺はダメなやつだった。

...俺はこれ以上、上へと登れなくなってしまった。

そんな俺の前に、突然あいつが現れた。

そして、こんな俺に手を差し伸べてくれた。

...最初はその手を拒んだ。けれどあいつは、何度も何度も俺に手を差し伸べてくれた。

......俺はその手を掴んだ。


もう一度、理想を叶えるために。

そして...こんな俺に手を差し伸べてくれたあいつの、願いを叶えるために。

一緒に頂点へと登り詰める為に。

--こいつとなら、一緒にいきていけると思ったから。

#高く高く
89作目

10/14/2023, 1:11:17 PM