とある恋人たちの日常。

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 今思うと「縁」って間違いなくあったと思うんだ。
 
 救急隊に入って、先輩から色々教えて貰っている時に助けたのが彼女だった。
 
 おっちょこちょいなのか、不幸体質なのか。彼女はよく怪我をして俺が当番の時に病院に来て話をするようになった。
 
 彼女の職場にはちょっと怖い人も来るから、少し心配になって話しかけていくうちに、彼女と好きなものや、好きな色が同じで嬉しくなった。
 
 何度も何度も巡り逢ううちに、彼女に惹かれていく自分に気がつく。
 
 接客業の彼女は他の異性とも話す機会が多くて。その屈託のない笑顔は、たくさんの人の心を掴んでいっているのは知っていた。
 それと同時に胸に刺さる痛みも。
 
 こんな感情を持つなんて思わなかった。
 
 自分の気持ちに戸惑いながらも、俺は彼女との距離を詰めたいのに、彼女の迷惑にもなりたくなくて距離を取った。
 そうすればそうするほど、蓋をしていた気持ちが溢れてしまう。
 
 そしてまた。
 偶然、君と巡り逢ってしまうんだ。
 
 ねえ。
 俺は君に、手を伸ばしても……いい?
 
 
 
おわり
 
 
 
三四三、巡り逢い

4/24/2025, 12:17:55 PM