吐いた息は白く、吹き抜ける風は冷たい。そんな寒空の下、二人は歩いていた。「……君と出会ったのも、こんな寒い日だったか」頭から血を流していた少女は、生きているのが不思議な状態だった。家主である男は懸命に手当てをし、今もこうして2人で静かに暮らしている。降る雪が見上げる星空も、在るべき道も覆い隠してしまう。男は少女の髪に触れ、末端の一束に口付ける。彼女は気付かない。親切の裏側に潜む、男の仄暗い欲望に。『氷雪の聖域』お題雪を待つ
12/15/2024, 1:32:08 PM