雨谷リツキ

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終わってしまった世界を、ゼロになってしまった世界を、あてどなく歩く。
どこまで歩いても、見えるのは荒野だけ。
生き物の姿はない。

『この世界に本当に希望はあるのか』

隣を歩く男がぽつりと零す。
終わったまま変化のない世界を見て、弱気にでもなったのか。
だが、ここで弱気になっている場合ではない。

『たとえ全てが終わってしまって、もう何も残されていなかったとしても。
まだ私たちがいる。まだ、光は失われていない。

私たちの手で、始めから--ゼロから、希望を紡いでいくんだ。

ゼロからのスタートも悪くないだろう?』

挑発するように笑ってみせれば、そうだな、と幾分か覇気の戻った声が返ってきて。
そうして今後も、歩みは止めず。
希望を探して二人旅を続けていくのだ。

2/21/2024, 6:12:52 PM