山百合

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・10『朝日のぬくもり』

カヨは自宅アパートに寄り道をせず真っ直ぐ帰り(元義両親に報告する義理はない)朝干した布団と薄手の掛け布団を取り込んだ。

夕方になる前に帰ってこれてよかった。
なんとはなしに取り込んだばかりの布団に頭を沈めて掛け布団を頭から被ってうずくまった。
日の光をたっぷり浴びたであろうそれは自分の味方をしてくれるような気持ちにさせてくれた。温かく良い匂いがした。

ふと昨日職場で見た白無垢を思い出したが
全く何の感情も湧いてこなかった。
私には縁もなく、また必要のないものだと
心の底から思った。

【了】

6/9/2024, 12:45:59 PM