夜あまりの暑さに目が覚めた。
寝る前につけていた扇風機は、律儀にタイマーで止まっている。
半端な時間寝たせいで頭がはっきりしない。
何とか重い身体を起こし扇風機のスイッチを入れた。
ブーンという音と共に涼しい風が吹きはじめる。
俺は再びベットに倒れ枕元のスマホに手を伸ばした。
8月3日 11時55分
ディスプレイに映る数字が、やけに俺の心をざわつかせる。
明日8月4日は俺にとって最悪の日。
大切な彼女が交通事故で亡くなった日だ。
毎年この日の前日になると、鬱々とした気持ちになってしまう。
いつか吹っ切れて何も感じなくなる日が来るんだろうか。
新しい彼女を作って、結婚して、子供が出来て。
とてもじゃないが今の俺には考えられない。
このままズルズル彼女のことを引き摺って、一生独り身で生きていく恐怖より、彼女のことを忘れることの方が俺にはよっぽど恐ろしい事に感じた。
気付けば時刻は12時を周り日付が変わっていた。
俺はスマホを置き、瞼を閉じる。
せめて夢の中で彼女に会いに行こう。
あなたに最後に会った日を更新していくために。
6/26/2023, 12:18:01 PM