胃がひっくり返りそうだ。
脳が痺れて縮こまっているような気がする。
喉に熱がこもっている。
あー、気持ち悪い。しんどい。
もう二度と飲まない。そう誓ったのに。
頭をできるだけ下に向けないように、ぐったりと首をもたせかける。
そんな努力も虚しく、脳はぐわぐわと動いている。
あー
喃語と呻き声だけが、ただ脳内を動き回る。
家の白い天井を眺めて、ため息をつく。
飲んでる時はあんなに楽しいのに。
私たち宇宙時空警備隊だけに接種を許された、仮想世界に脳を接続して飲む全く新しい嗜好品、【非公開情報です】は、翌日の反動が強い。
仮想世界と現実世界のワープによる、世界酔い。
【非公開情報です】の精神作用効果。
そして、【削除済】
飲んでいる時にはあんなに楽しいのに、飲み終わって、現実世界に戻ってきた時には、飲んだ分の恐ろしい反動が待っているのだ。
【非公開情報です】を飲んだ翌日は、何もできない。
できるだけみっともなくならないように、頭をもたれかけて、ただそれが過ぎ去るのを待つしかない。
この時間、いつも心の底から思うのだ。
【非公開情報です】なんて、もう二度と飲まない!
仮想世界になんて、もう二度と行かない!
しかし、人間の「もう二度と」なんて、夢や仮想世界よりも不確実だ。
何日も経って、すっかり記憶が薄れて、そして現実世界で嫌なことがあったら、やっぱりついつい仮想世界へ行きたくなる。
そんで、仮想世界に行って、活動している間に、アレが飲みたくなる。
【非公開情報です】を飲んだ時の、あのふわふわとした楽しさと心地よさが、欲しくなる。
だから自業自得なのだ。
今しんどいのも。
だから無駄なのだ。
今の考えも。誓いも。
それでも考えずにはいられない。
ぐったりともたれた頭蓋の中で、ぐわぐわ動く脳を、理性で懸命に押さえつけながら。
今にもひっくりかえりそうな胃を押し込めながら。
全部をぶちまけようと熱くなる喉を抑えながら。
こう考えずにはいられない。
こんなこと、もう二度とやらない!
3/25/2025, 3:59:05 AM