列車に乗って見慣れた景色が通り過ぎてゆく。いつもなら何も思わないその景色に、私の心臓がヴェールに包まれたかのような錯覚を覚えた。馴染みの土地を離れ、見知らぬ土地でひとり生きていく。……もう、取り返しはつかないんだね。いつのまにか知らない景色を映している窓。共に映る私は、なんだか大人な顔をしている。
2/29/2024, 3:42:14 PM