いしか

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星座を見つけて欲しい。
この星座を見つけたら、私に知らせて欲しい。

王子様はそう言った。
けれど、私はその星座を見つけることは出来ていない。
きっと、王子様は見つけられない星座を伝えて帰っていったのだ。
私と、もう二度と会えないから。もう二度と、会うことはないから。

「王子様。私は、王子様と出会えて幸せでした。」

私と王子様は、身分が違う。王子様御一行が困っていた時に、私の家にお招きをし、その困り事が解決するまで私の家で過ごして貰っていた。

その間、王子様と私はたくさんお話をして、私は恐れ多くも王子様に恋をした。
けれど、そんな気持ちは、今すぐにでも手放さなければいけない。

そんな夜。

「今日は、夜空がきれいね」

私は外に出て、星を眺める。

「………あら、あんな星、あったかしら?」

「この、星の形…………、王子様が言っていた星座?嘘、今まで無かったのに」

私が驚いていると

「今まで無かったのは当たり前。
今日だけしか見えない。幻の星座だからね」

その声の主は、王子様だった。

「お、王子様っ!なぜ、こちらに?」

「うん。君を迎えに来たんだ」

「迎えた?私を?どうして……?」

「私は、君の事が好きなんだ。だから、君を妻に迎えたい。」

「はい?妻?………………………………えーーーーーーーーっ!!!!」

どうやら要約するにこの星座を見つけて知らせてほしいと言ったのは、自分の事を忘れないで居てほしかったからで、そんな重要な事ではなかったらしい。

そして、私の好意は、王子様にだだ漏れで、王子様も私の事を想っていたらしい。

そんなこんなありながら、私はあっという間に王子様の妻になった。
忘れなければと言っていた日が嘘のよう。

そんな私と王子様。
私達二人は後にこう言われる。

「身分違いの恋のおしどり夫婦」
と。

あはは、そのまま過ぎて面白い。
けど、私は、きっと幸せものだ。

10/5/2023, 10:35:07 AM