「もう、貴方とはお別れです。」
そう、彼女から告げられた。
私は、その言葉に何も思わなかった。
私自身、薄々感じていたから。
「そうですか。分かりました。今迄、有難う御座いました。」
私は、彼女に頭を下げた。
「こちらこそ、今まで、ありがとうございました。」
そう言って、彼女も頭を下げた。
「私自身、もう別れだと感じていましたから。」
微笑もうとしたけど、少しぎこちなくなった。
「では、さようなら。」
そう言って、彼女は私に背を向け、去っていった。
最後の最後まで彼女は、涙の一滴も見せず、颯爽としていた。
きっと、こういう彼女の姿に……私は惚れ込んだのだろう。
一筋の涙が流れる、私を見ぬように夕日は……もう沈んでいた。
4/8/2024, 7:28:31 AM