「あれ、その付箋俺も持ってる」
神崎のノートには小さな、パンダのイラストがプリントされてる付箋がついている。
しかもかなりボロボロだ。
「これ山田がくれたやつだよ?」
「あ、そっか」
確かにこの前あげた気がする。なんで忘れてたんだろう。
…ん?
「この付箋1枚しかあげてなかったよね?もしかして使い回してる?」
「う、うん。だって可愛くて気に入っちゃったから」
なるほど…
欲しいなら言ってくれればいいのに
何回も使い回してたら意味ないじゃん…
「ふふっ」
「神崎ってほんと馬鹿だよね笑」
「え!?なに急に!酷いんですけど!!」
「なんでもないですぅ、」
「…ん、」
「これあげる」
そう言って付箋を渡す、念の為に2枚。
「間違えてたくさん取っちゃったから」
恥ずかしくて目が合わせられない。
「…ありがとう」
顔を見なくても恥ずかしがってるのが声でわかる
「こら、そこの2人喋らない!!」
まずい、授業中だった。
「!?すいませんっ!」
「すいませーん」
僕は神崎の事が好きだ。周りから見たら僕たちはカップルにしか見えないだろう。でも僕たちは友達だ。僕が臆病だから気持ちを伝えられてない。恋人になってこんなものかって失望されたくないんだ。
だから僕はこの、簡単に剥がせてなかったことにできる関係から踏み出せない。
こんなの自分でも情けない。
でも、卒業までは許して欲しい
「じゃあこの問題を〜神崎、いけるか?」
「っはい!!〜〜」
いつもこの席から見える横顔
神様、
ずっとこれだけは続きますように
※フィクション
9/17/2025, 12:34:25 PM