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#君と歩いた道

私は、歩いていた足を止めた。ここは、私が子供の時の通学路だった。
あやかちゃんと私は、「あやすみち」って言ってたんだよ。
あやかちゃんの「あや」と、私(かすみ)の「すみ」。それと「道」。
全部合体させて「あやすみち」。もっといい名前あっただろうにね。
まあでも、いい名前だと思ってるよ。二人きりの呼び方だし。
子供の頃って、なんか「内緒」っていうのを作りたくなるんだろうね。
いや、そんなことはどうでも良くて。私が話したいのは、そうじゃない。
あやかちゃんと私の、話。最後まで、聞いていってね。

「かすみちゃん。きょう、あそべる?」
「うん!あそぼう、あそぼう!わたしのいえであそぶ?」
「いいの?ありがとう!じゃあ、しゅくだいもっていくね。」
そんな、他愛のない話をしていたとき。
「かすみちゃん!あぶない!!」
あやかちゃんは私を突き飛ばし、道路から突っ込んできた車に轢かれた。
「あやか…ちゃん?」
あやかちゃんの頭から、赤い液体がドロドロでてくる。
それが血だと気づくには、幼い私には時間がかかった。
私は大声で叫んだ。何度も何度も、あやかちゃんの名前を呼んだ。
でも、このとき私は初めて人が冷たくなっていくのも感じた。

これが、私が話したかったこと。なんか、思い出したら泣けてきちゃった。
この君と歩いた道を、物語を、私は忘れないよ。君の分も、私が生きるよ。
大好きだよ。ありがとう。あやかちゃん。

6/8/2025, 10:38:44 AM