夏が近づいて、草木は緑に色づく頃、春より少ないとはいえ花が元気に咲いている。その花の蜜を吸いに、モンシロチョウが集まっているのを散歩中に見かけた。
「あっ、モンシロチョウだ。夏が来るね」
「そうですね、小学生の頃に学校で育てたのを思い出します」
「懐かしいね、確かに昆虫の生態はモンシロチョウから習った気がする」
確か学校の裏庭にあるキャベツ畑から葉っぱごとモンシロチョウの卵を持ってきて、容器に入れて育てていたような。幼虫から蛹、そして成虫になるモンシロチョウは変化の象徴というイメージがある。
「へー、モンシロチョウって幸福の象徴でもあるらしい」
ふとスマホを出してモンシロチョウを検索すると、少しスピリチュアルな話が目に入った。すると、白が幸福を意味するらしく、モンシロチョウも強い運気の象徴との事だ。私たちはそろってこういうものを真に受ける性格ではないのだが、いい意味を持っているとつい気になってしまう。
「なるほど、何かいい事があるといいですね」
「私は、あなたとの幸せな日々が続いてくれたらいいなって思う」
「ふふ、嬉しいことを言いますね貴方は」
私は彼と手を繋いで、その感覚に幸せを感じながらまた歩き出した。
テーマ「モンシロチョウ」
5/10/2024, 10:53:59 AM