私は小学三年生の頃、リコーダーのコンクールに参加することになった。そのコンクールには地域の小学三年生が各学校ごとに何人か参加することになっていた。
────本番当日、私は全く練習していなかったため、リコーダーを上手く吹くことができなかったという、悲しい結果で終わってしまった。幸い、10何人かで吹いていたため指を適当に動かしていれば間違った音が紛れることはなかった。
その日、コンクールが終わった後にいわゆるミーティングのようなものをしてそのまま帰る、という流れだった。リュックにリコーダーをしまい、みんなで学校の前まで行き、そこで解散して家に帰った。
帰ると、すぐに母が
「今日のコンクール、テレビで流れるんだってよ」
と教えてくれた。内心、とても焦っていた。なぜなら私の母は自分の子ばかりに夢中になっているからだ。
(...いや、親なら当たり前のことだろうか。)
とにかく、その親あるあるが嫌で仕方がなかった。1人だけ違う指使い、明らかに挙動不審な動き、更には目が泳いでいる。こんなことになるなら少しは真面目に練習しておけば良かったとも思った。その時はただただ画質が悪いことを祈るばかりだった。
2/7/2024, 1:24:47 PM