射し込む陽の光で目が覚める。
朝か……と思っていると、ハッと昨日の決意を思い出した。
それは、初日の出を片割れの弟と一緒に見ること。
私たちは旅人だ。旅立って一年にも満たない新人だけど。
町にある小高い丘から初日の出の瞬間を見ることができたら今年は良いことがあるだろう、となんとなーく験を担いでせっかく早寝したのに結局間に合わなかったなんて!
弟も弟で、隣でぐーすか寝てて起きる気配はない。
せっかくの大みそかの日に夜ふかしをしなかったのに……
怒りと悲しみを込めてカーテンを勢いよく開ける。
まだ眠い頭や目に暴力的なまでの光が一気に射し込み、私は床に倒れ込む。
朝の光を浴びただけなのにHPの半分くらい持っていかれた気がする……
その時、大あくびと布が擦れる音が聞こえた。どうやら弟も起きたらしい。
「あけましておめでとう……。
なんか……死にかけのバンパイアみたいだけど、新年早々何やってるの……?」
「……うるさい」
弟は私にそっと近寄り、頭に何かをバサリと掛けた。
「これで眩しくないはずだよ。ほら、目を開けてみて」
言われた通りそーっと目を開けると、光が良い感じに遮断されている。どうやら掛けられたのは弟のコートのようだ。
窓の外を見上げて弟は呟く。
「初日の出、だね」
「……あの小高い丘から見たかったのに……」
「それはまあ、来年頑張ろうか。僕も頑張って起きるようにするからさ」
「……そうね」
二人で並んで宿屋の窓から太陽を見上げる。
今年はこうだったけど、来年は私の願い通りになればいいな。
そんな新年の始まりだった。
1/3/2025, 12:57:21 PM