君の目を見つめると、春爛漫。
22時36分。
僕はホテルから外出して買い物に行こうとした。
すると、病院の駐車場の柵から茶トラ猫が顔を出している。
丸く大きい目が可愛らしいオス野良猫だ。
この猫が元々ホテルを縄張りにしている猫だ。
サバトラ猫※1とはエサを分け合う仲だ。
なぜか、たまにしか現れない。
僕はスマホで猫翻訳アプリを起動した。
「おお、久し振りだな元気にしてた?」
僕は話かけた。
「ええ、まあ」
茶トラ猫は返事した。
「お腹空いてる?チュ−ル食べる?」
「今はいらないです」
「ここで何をしてるの?」
「まあ、いいじゃないですか」
「君の目を見つめるとかまいたくなるんだよ。前からここにいる事多いね…。ああ!もしかして!トルコ猫ちゃん※2を待ってるの!!」
「……ち、違いますよ」
茶トラ猫は明らかに動揺している。
「冬が終わり春爛漫。猫ちゃんにとって恋の季節がやって来たもんね!羨ましいぜ!ところでトルコ猫ちゃんは、秘密の場所のエサだけ食べて僕の前に一切姿を見せないし、トルコ猫君※3は倉庫の屋根から降りられるよう救助したのに礼はないし、サバトラ猫は僕を見たら逃げるし、僕に対する感謝の心がない!この辺の野良猫はどうなってんだ!YouTubeで見る野良猫は物凄く人懐っこいじゃないか!」
「あれは、野良猫に毎日エサを上げて手懐けてるんです。いい場面を集めて編集してるんですよ」
「まあ、そうだと思うけど、あまりに警戒心が強過ぎる。もうちょっと信頼してくれてもいいんじゃない?僕は野良猫に対して友好的なんだから…」
「分かりました。無駄だと思いますが、一応、伝えておきます」
「じゃあ、頑張ってね!」
僕はその場を去った。
しばらくすると、トルコ猫ちゃんが現れた。
茶トラ猫はトルコ猫に近づいた。
「トルコ猫ちゃん、会いたかった!僕と付き合って下さい‼️」
茶トラ猫はアタックした。
「嫌よ!!」
トルコ猫は猛ダッシュで逃げた。
その後を茶トラ猫は追った。
だが、逃げられてしまった。
この恋の成就は難しい。
※1 サバトラ猫について知りたい方はサバトラ猫を読んで下さい。
※2 トルコ猫ちゃんについて知りたい方は木枯らし、ミッドナイトを読んで下さい。
※3 トルコ猫君について知りたい方は青い瞳の来客編を読んで下さい。
4/11/2026, 4:31:57 AM