赤を塗ったら少し暑くて、
青を塗ったら落ち着きすぎて、
黄色を塗ったら少し陽気で、
緑を塗ったら自然すぎて。
赤橙黄緑青藍紫。
色を重ねているうちに、
元の色すらわからなくなって、
鈍色になったキャンパスをまた白く塗り潰す。
何度も。何度も。
自分だけの色を探して描き続ける。
だけど、見つからない。
苦しくて、苦しくて、
どうにもならなくて。
キャンパスを投げ捨てた。
ゴミ捨て場に、真っ二つに割れたキャンパスがあった。
その断面は、幾重にも色が重なっていて、
まるで地層のようだった。
それはとても美しかった。
5/2/2023, 3:04:52 AM