ハルハル

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お題「君の声がする」

私は...母親を中学の時に亡くなってしまった。
今現在は高校3年生である。
中学の時は施設に住んでいた。
今は一人暮らしをしている。
あの頃は...考えもしなかった。



まるでスローに見えた。

青信号なのに、車が走っていた。
母親の叫び声が聞こえる。

「奏!!」

横を見ると、車が見えた。
まるでスローに見えた。
足がすくむ。
車が目の前に来る。
私は目を瞑った。

すると何故か後ろから押された感覚がした。
後ろを見ると、母親が横たわっていた。

「お母さん!!」

通行人がザワついている。
どうやら救急車を呼んでくれたようだ。
救急車のサイレンが鳴り響いていた。
救急車に乗っていた人、 救急隊員が私の腕を掴む。

「触ってはいけない!」
「嫌!お母さん!」

私の涙が頬をつたう。
救急隊員は私の腕を掴んで、母親から遠ざける。
救急隊員が母親の首筋に触れる。
そして口に耳を傾けていた。
救急隊員は首を振る。
その瞬間救急隊員は掴んでいた私の腕を離す。

「お母さんは...お母さんは無事なんですよね!?ね!?」
「残念ですが...」




今夜そんな過去の事を考えて寝る準備をする。
涙目になる。
母親は今天国で元気だろうか。

布団を敷いて寝転ぶ。
目を瞑る。
夢を見た。

母親が私の頭を撫で優しく微笑んで言う。

「成長したわね」

夢の中の私は5歳児だった。
夢の中の私が涙目で言う。

「お母さん...元気にしてた?久しぶり」
「久しぶり。勿論元気よ。今まで会えなくてごめんね」
「大丈夫だよ。お母さん」

その後ずっと母親は何も言わずずっと頭を撫でてくれた。

目が覚める。
私は泣いていた。

お母さん...

起き上がって学校の準備をする。
誰も居ない家に私は言う。

「行ってきます」

すると何故か母親の声が聞こえた気がした。

「行ってらっしゃい」

きっと...お母さんだね。

私はまた笑顔で言う。

「行ってきます!」

2/15/2025, 12:33:08 PM