霜月 朔(創作)

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仲間




夜の風が冷たく吹き抜ける。
淋しげな虎落笛だけが響く中、
彼奴の声が耳元で蘇る。

笑い合い、涙を分け合った日々は、
今や霧のように消え去った。

彼奴はいつも、
「大丈夫だ」と笑ってくれた。
俺達なら乗り越えられる、と。

俺は、その背中を追いかけた。
そう。俺も信じていたんだ。
…希望という幻を。

だが、彼奴は。
俺の眼の前で…逝った。
刃に貫かれた、彼奴は、
もう二度と、戻りはしない。

彼奴は。
何を守る為に、命を賭けたのか。
俺が伸ばした手は、
虚空を掴むだけだ。

夜明けは来ても、
俺の前には闇が広がる。
彼奴のいない、この道を、
俺は独り、
歩き続けなければならない。

俺に残されたのは、
仲間という絆の残渣だけ。

12/11/2024, 5:15:38 AM