「はじめまして、〇〇です。よろしくお願いします」
礼儀正しくて笑顔の素敵な人。それが〇〇さんの第一印象だった。
田舎の小さな喫茶店のアルバイト。
お金が稼げればなんでもいいと、ただ機械的に働いていただけだったのに。
「それ、持ちますよ」
「他に何かできることはありませんか?」
「すみません、ありがとうございます」
入ったばかりにも関わらず、自分にできることを精一杯やってくれたり、重たいものを持つのをかわってくれたり。
そんな優しい彼を好きになるには時間が掛からなかった。
〇〇さんはどんな女の子が好きなのだろう。
また一緒の日に入れるといいな。
今日はなんて話しかけようかな。
気づけば毎日彼のことばかり考えている。
続かなかったダイエットも、めんどくさかったスキンケアも、今はなんだか楽しかった。
「今日もよろしくお願いします」
そう言った彼はいつも通りの彼で、ドキドキしているのも会えて嬉しいのも自分だけなのだと思うと、少し胸が苦しくなる。
まぁ、その苦しさすらも心地よく感じてしまうのだけれど。
今日もたくさん話せるといいな。
お題『恋物語』
5/18/2024, 2:59:50 PM