白米おこめ

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曇り空のグレーは、彼を思い出させた。
いつだって気怠そうな、彼の目の下にある隈のような色。
だから怖くて下を向いた。
空にまで自分の罪を責められているようでは、
いつか全てのものが敵になってしまいそうだったから。

澄んだ秋の水色も、夏の真っ青な強い青色も、
全て彼を想起させた。
自分の中の“あおい”は居ない。全て彼のものだった。
雨が降り出しそうな雲は、白くない。
白さを失った雲が、今日も無意味に漂っている。

「雲り」 白米おこめ

3/23/2025, 3:39:19 PM