「大好きな君に」
「彼女できた」
コンマ数秒のフリーズと、とてもとても良い奴ですから、そりゃそうでしょうね!という気持ちと、名前も知らない彼女への悪の感情が、同時に私の脳を埋めつくして、砂嵐のように侵食をして、そして残ったのは静寂だった。
「そっか、おめでとう!
「え〜!どんな人?!
「どうして、
青いラインに引かれる言葉はどれも違う気がして、打っては消し、打っては消し、既読スルーの焦りが浮かぶ。
その数文字を何分も見つめた。たった一つの言葉で私は初めて己の恋愛感情を飲み込み、そして憎悪を生んだ。
彼とは本当に奇縁な始まりで、挨拶スタンプを送ったあの日から、何年も何年も、時が経っていた。
話していくうちに彼が本当にいい人で、結婚適齢期の内に誰もが愛す幸せそうな女性と結婚しそうだな、と思った。
そんな偏見を片隅に置いていたけれど。それと同時に小さな感情が増していくのも気づいていた。けれどもみて見ぬをしていた。友達以上恋人未満。それでいいと思ってた。
「大丈夫?」
シュポ、と端末から音がなって我に還る。
可愛げのあるイヌのスタンプに大丈夫?と書かれている。
大丈夫なわけ、ない。
「ごめん、ちょっとびっくりして。」
「大丈夫だよ!良い人見つかったんだね〜」
冷静を取り戻して、飛行機のボタンを押して、スマホの電源を切った。
知ってる。あなたがモテないはずないんだって。
けれども忙しいのを理由に、何年も隣を空席にしていて。
知ってる。あなたが勉学に本気で打ち込んで、毎日忙しない日々を送ってたって。
けれども。数少ない休日を犠牲に私と会ってくれていたって。
でも。
「あんまり、祝いたくないなぁ。」
ごめんね、ずっと私の空想で、君に思いを馳せていて。
3/4/2026, 2:29:51 PM