初めて彼女の名前を聞いた時、聞こえが良くて心地いい名前だなと思った。
なんでだろうと考えると、とても簡単な話し。それは苗字と名前で韻を踏んでいて、それが可愛いと思ったからだ。
今思うと、最初から惹かれていたんだと分かる。
お互いに色々と時間を重ねて行くうちに、彼女が向けてくれる優しさに気がついて、恋に落ちていた。
今では……。
「ぼんやりして、どうしたんですか?」
考え事しながら、恋人を見つめていると、視線を感じたようで指摘されてしまった。
「んー……」
俺は身体を伸ばしながら、改めて彼女を見つめる。
「好きになったきっかけのひとつって、名前なのかなーって」
「私の名前ですか?」
「あくまで、きっかけのひとつだと思うって話し」
彼女は視線を上に向けながら考える。
「そうなんですか?」
「うん、可愛い名前だよね」
素直にそう伝えると、彼女の頬が赤くなる。純粋な彼女の反応は名前以上に可愛いと思った。
「あ、ありがとうございます。へへ、大切な名前だから嬉しいです」
また、素直な反応をする恋人を見て、名前だけじゃなくて全部可愛いなと笑ってしまった。
「それだと、私の苗字が変わったら、私の名前……可愛くないですか?」
その言葉に、今度は俺の耳が熱くなる。だってその言葉の意味って……。
俺は意を決して、彼女の手に自分の手を重ねた。
「可愛いよ。それ以上に、そうなったら嬉しい」
彼女の目が大きく開いたかと思うと、目を潤ませながら、これ以上にないほど愛らしい笑顔を俺にくれた。
おわり
お題:私の名前
7/20/2024, 1:58:30 PM