明日にはいない人

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ワンルームの部屋。私も弟も妹も似たようなワンルームに住んでいる。家賃は3万ちょっと、妹の場合は社宅だから1万ほどだ。(羨ましい)

生活するのに不自由はない。けれど、長く住むほど自然とものが増えていく。

棚が足りないからクローゼットに衣服は乱雑に詰め込まれている。そのうえ生活域の三分の一は布団が占拠している。床を見れば、脱ぎ捨てた服と仕事用のかばんがフローリングの床にちらばっている。

典型的に汚いと評される部屋だ。

小さな座卓が部屋の中心にあって、真後ろに倒れれば敷きっぱなしの布団に頭が乗っかる。

部屋の惨状を目にするたびに自分の生活力のなさを実感してしまう。

生きるのって難しいな。そう思ってしまう。

起きて、ご飯を作って食べて、ゴミを出して、仕事して、帰りに買い物して、帰宅して風呂入って、ご飯作って食べて、寝る。それの繰り返し。

なんだか苦しいな。そう思ってから次第に1つずつ出来なくなっていった。ゆっくりと水滴が布に染み込むように日々の生活に暗いシミが広がっていく。

一人暮らしを始めたばかりの頃はこの部屋は輝いて見えた。自分の人生の分岐点となる場所だった。

ワンルームの部屋。この部屋で希望を抱き挫折し絶望し、その中でも小さな喜びに浸れる日もあった。

部屋に愛着など湧かないが、実家を出てから今までずっとこの部屋で生活してきたせいか今の惨状になおさら焦燥を覚える。

今の季節を考えてみてほしい。夏とまではいかないが梅雨の始まりだ。じんわりとした熱と肌にまとわりつく湿気。そんな時期に汚いと評される私の部屋で何が起こると思う?

カビに虫におまけにエアコンから吹く風も眉をしかめるほどの匂いがする。

はあ。

自業自得だが、ほとほと自分の生活力のなさに呆れる。

こんなでも、仕事や家族の中でもそれなりに信頼されているんだよ。

私の本当の姿を知っているのはこの狭い部屋だけということだね。







6/4/2024, 12:06:05 PM