╭⋟────────╮
君が隠した鍵
╰──────⋞╯
────チャリン!
金属音が静かな部屋に響く
それを聞いた男は「はぁ…」とため息をつきながら腰をかがめ、ワックスで鈍く光る木のフローリングに手を伸ばし、床に転がる‘それ’を拾った。
男はそれを手で弄びながらさっきまで座っていた椅子にまた腰掛け、なにやら考え事を始めた
眉はぎゅっと集まり、眉間にシワを作っている。
元の位置に戻されたそれの近くには芯が出されたシャープペンシルと冷めたコーヒー、それから真っ白けの手帳が開きっぱなしで置かれていた
窓からの光を観葉植物が微かに遮り、ゆらんとした影を部屋全体に映し出す
その手帳をよくよく見ると、文字を消した跡がうっすらと浮かび上がってくる
『この鍵はどこの鍵なのか?』
男はまだ、眉間にシワを寄せたままだった。
11/24/2025, 12:11:46 PM