冷たい光が窓から差す。
まだ暖かい秋の夜。
窓際にたたずむ君を私はまだ責めれられずにいた。
白い肌に乗った真紅が微かに微笑む
「今夜は月が綺麗ね・・・」
黙ったままの私の様子を楽しむかのように。
ヒラヒラと手を動かし先ほど踊っていたステップを踊る
嘲笑うかのように私の周りをくるくると黒のハイヒールが舞う
くっ・・噛んだ唇に血が滲む。彼女の手を乱暴にひったくる。
「フフッ・・口が聞けないわけじゃないでしょ。
レディが月が綺麗と言っているのだから返すのが紳士でなくて?」
何かを渇望するような恍惚とした表情は月光の下では、
なんとも妖艶な香を放つ
「まあいいわ・・今日は充分楽しめたわ。」
さっと手を振り解かれるとともに胸ぐらを引き寄せられる
「また今度返事を聞かせてね・・・・」
耳元に息がかかるのを感じるのと同時に首筋に鈍い痛みが走る
!?
「また今度会いましょう!!」
首元を抑えると同時に部屋の外に出ていく彼女にやっと理解が追いついてくる
やられた・・・後悔ともつかぬ感情を胸に窓を見る
月明かりに映る首元にはくっきりと真紅の花が咲いていた
1/10/2023, 12:22:06 PM