雪兎(きよと)

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星空の下で


「もう、こんな時間なんだね」
2人、空を見上げる。
真っ暗な空の中、キラキラといくつもの星が瞬いている。
隣で伸びをする貴方を横目で見ながら、私の心に愛おしさがあふれた。
再び、夜空に目を向ける。
満天の星空の下で、ただひんやりとした空気を吸い込んで。
そうしていると、吸い込まれるような、身体が浮くような感覚を覚えて……
そうしたら、ギュッと手を握られた。
思わず隣の貴方を見る。
「何か今、どこかへ飛んでいきそうに見えたよ」
「そう、だね」
自分でもそう感じていた。
ふと、抱き寄せられる。
「何処にも行かないで」
耳元に寄せられた消えそうな声が、切実さを物語った。
「行かないよ」
ここにいる。貴方の側に、ずっと。
貴方が私を必要としてくれる限り。



星空の下で、私は心に誓った。







4/5/2024, 12:10:06 PM