かたいなか

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「『春爛漫』、『夏』に続いて、ダイレクトな季節ネタのお題か」
春はスミレの砂糖漬け、夏は虫刺されの薬とホタル見に行く話書いたっぽいな。某所在住物書きは過去作を辿り、昔々の記事へのアクセスがアプリ内では相当困難になってきていることを再認識した。
インストールが春である。現在秋だ。
4月11日投稿の「春爛漫」など、何度ページを移動する必要があろう。
「で、明後日猛暑の予報がある時期に、何だって?」
ため息ひとつ。秋まだ浅く、過去投稿分は酷く深い。

――――――

秋だ。 秋の筈だ。
東京もようやく、天気予報とかで、最低気温20℃以下を見かけるようになってきた。
10月最初は今のところ、最高23℃予想らしい。
なんなら来週火曜日、最低気温17℃だって。
なのになんで明後日が猛暑、35℃予報なんだろう。

「今のうちに言っておくが、」
職場の昼休憩、休憩室。
「万が一億が一、申請が通らなかったら、きっと私は明後日、熱中症で終日ダウンだ。頼るなよ」
朝イチでリモートワークの申請を出した、雪国出身の暑さ耐性マイナスな先輩が、スープジャーの中身を突っつきながら言った。

熱中症。熱中症だってさ。
秋だよ。9月下旬、もうすぐ10月だよ。
アレなの。たまに呟きックスで見かける「◯◯大量発注しちゃいました」の気温版で、猛暑日の在庫、全然捌ききれてないの。
勘弁してよ。いい加減棚卸しして、ちゃんとシーズンに見合った気温に入れ替えてよ。
季節外品は服とかイベント系とか等々で十分だよ。

なんで明後日が35℃予報なんだろう(重要二度)
なんなら、「秋」って、何だろう(根源的問答)

「大丈夫。私も明日と明後日リモートの予定だから」
9月末の灼熱地獄に、在宅ワークの制度整ったこのご時世で、わざわざ汗水垂らして職場に通勤してやるほどの義理、私無いし。
一足早く承認貰ったリモートワークの申請書をピラピラさせて、私も先輩に言った。
「『明日ワクチン接種なので、明後日、副反応で休みます』ってことにした。先輩明後日、部屋にごはんたかりに行って良い?」

その手があったか。
先輩は口を小さく開けた。

「飯のリクエストは?」
食費と料理代、5:5想定でこっちがお金を出すと、低糖質低塩分の料理を作ってシェアしてくれる。
「何もなければ、多分、最近安いワラサだのカツオだのを使った、タルタルだの、カレー粉だのの何かになると思うが」
お互い、経費節約になるから、べつに恋人同士ってワケでもないのに、先輩宅へ行ったり来たり。
「『秋』が食いたいなら、キノコや栗も考慮する」

明後日は、何が食べられるかな。
「あと何回」、先輩のごはん食べられるかな。
明後日のことだけど、今日からもう、先輩のごはんが気になって、少し顔が綻んだ。

「ワラサ is 何?」
「ブリの前だ。メジロとも言うらしい」
「ブリの前はイナダでしょ?先週水曜日、20日、クリームパスタで食べた」
「そのイナダ、あるいはハマチの次がワラサだ」

「はまちが、ぶり……?」
「なんだその、えぇと、銀河猫顔は」
「うちゅうねこ……」

9/26/2023, 10:52:01 AM