ぬるい炭酸と無口な君
指先で ぷつり 泡が消える音
教室の窓 セピアに染まる午後三時
君は何も言わないまま
カバンの隅に 夢を詰め込んでる
ストロー越しのため息が
私の喉を かすかにくすぐって
もう冷めたサイダーなのに
なぜだろう、少し 甘く感じた
“既読”はつくけど 声は届かない
まるで深海 Wi-Fiも愛も圏外
タイムラインで笑う君は
現実より ちょっと嘘くさくて
だけど、
それでもいい、って思ったんだ
だって私だって
毎日フィルター三枚越しの 本音しか載せてない
傷つくくらいなら 黙ってていい
泣くくらいなら 笑ってればいい
ねえ、そうだよね? 君もそうだよね?
——ねぇ、なんで黙ってるの
炭酸みたいに はじけたいのに
君といたら 全部がスローで
でもそれが、
たぶん 私の「好き」だった
この夏、言葉にならないことが多すぎる
麦わら帽子も 宿題も ふたりの距離も
全部ぜんぶ ぬるいまま
それでも 飲み干したいって思ってる
泡の一粒に 君の声がまぎれてた
聞こえた気がした、気のせいじゃなければ
——ねぇ、
来年の夏も 一緒に黙っててよ
8/3/2025, 12:32:20 PM