「小テストどやった?」
「しくった。スリルでマイナス5点」
「more thrillingのとこ?なんで?」
「thrill、thriller、thrillestと思うやんか」
「アホがおる。それは名詞化の-erやろ」
否定はせんけど阿保に阿保云うお前も阿保じゃ、とお決まりのセリフを投げつつ彼は机から単語ノートを引っ張り出してきた。ペナルティもないのに復習の書き取りを欠かさない級友は、アホなりに真面目なのだった。
受験ってものに何かコツがあるとすれば、どれだけ真面目に成果を積むか、あるいはどんだけ不真面目でも勘所だけ抑えておけるか。この二択のどちらが自分の性に合うかを見極めることだ。
ああやってあいつは常に端折らず課題全部に目を通していたし、僕は捨て教科全部仮眠に充てていた。それで今また二人揃って同じ学校に居るのは、お互いうまいこと正解の道を選べてたってことだな。
こうして毎日肩を並べて歩けるのはいつまでだろう。
未来を思うと少し怖くて、でもワクワクする。
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「スリル」
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所感:
MJの二文字を目にしてスリラー・バスケ・スパイダーマン、どれを思い浮かべるかで世代が分かれる。お題からそんな話を思い出し、thrillのスペルを確認しました。
11/13/2022, 1:20:59 PM