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「何?この曲」
今どき、ラジオを片手に音楽を聴いてるやつは少ないだろうが、目の前にいるこいつはラジオを耳に当てて何かの曲を聴いている。
「曲じゃなくて、ソング、な」
「どっちも同じでしょ…」
こいつはいつも細かい。それなのに、大雑把で適当。 
ほんとに、困ったもんだよ。
「そんなに耳に近づけたらだめでしょ?耳悪くなるよ」
「ぅわっ!…もー、やめてよ」
ラジオを取り上げると、いとも簡単に取ることができた。
力が弱いわけではないはずなのに、どうしてだろう?
「…どした?」
背中を曲げて、目線を合わせてそう問う。
そっぽを向いて、何故か顔を真っ赤にする。気になったから、顎をつかんでやった。
「照れてんの?」
「うるさい」
頑なにこちらを向かないので、何故こうなったのかを考える。確か、ラジオを取り上げてから様子がおかしい。
…ってことは、このラジオが原因…??
「ちょっと、失礼」
「…ぉい!やめてっ!」
それを耳元に近づけると、ラブソングのようなものが流れていた。あれ、こいつは恋愛に興味ないって言ってたはず。
…なるほど。
「…へー?そっかぁ」
「くそ!やめてよ、顔がうるさい!」
そう言って、顔をぐいぐいと押してくる。
「ふふ」
「なんで笑ってんの、ばか!」
まあ、親友のことだしね。
応援してやるかあ
「デートはいつ?」
「だ、黙れっーーー!」


5/6/2025, 10:57:25 AM