『あの夢のつづきを』
目が覚めた。
どんな夢をみていたものか、覚えていない。夢はきれいにぬぐわれて私には何も残らない。
起きて、普段着のままだと気がついた。
(あれ?)
夕べ、パジャマに着替えた覚えがあるのに。
でも、そんな記憶違いも時にはあるのだろう。違和感はすぐに消えた。お腹が空いている。寝室から母のいるだろうリビングへ移動した。
母は朝ごはんをつくっていた。いつもどおりに私はトースターに食パンを放りこんだ。母が振り返る。
「早起きね。いま目玉焼きができるからちょっとだけ待」
そこで、目が覚めた。
何か妙に現実的な夢だった。
やはり普段着のままの私はベッドに上体を起こす。大きな欠伸をしてリビングへ。
母は朝ごはんをつくっていた。いつもどおりに私はトースターに食パンを放りこんだ。母が振り返
目が覚めた。
さすがに私は若干の不気味さと焦りを覚えていた。
普段着のまま、私は急ぎ足でリビングへ。
母は朝ごはんをつくっていた。私はトースターに食パンを放りこむなり母に訊く。ここで目が覚めなければ、たぶんループから逃れられる。そんな気がしていた。
「今日は目玉焼き?」
母は振り返った。
「そうよ、よく、わかったね」
やった、乗り切った!
私は目が覚めた。
口のなかがじゃりじゃりと苦い。
普段着。寝室を跳び出す。リビングへ急ぐ。リビングへ入るなり、
私は目が覚めた。
どうなっているのだろう。心が怯えて心臓が痛い。
普段着、寝室を出て廊下を駆け抜け母のいるリビング
目が覚めた。
ベッドに起きあがり、普段
目が覚めた。
ベッドで起きる私はもう泣き出しそうだった。
目が覚めた。
ベッドで
目が覚めた。
瞼をあげることも怖い、
目が覚め
目が
目...
夢はもうみたくない。
私は一生もうこの檻から逃げられないのか。
目をあけられない。あけたらきっと目が覚める!
また、目が、覚めて、
この夢のつづきは、何処へつながるのか。
あたりまえに夢から覚められた私の、あたりまえのあの夢のつづきの日常を、私は、
夢の つづきを また みますか ?
1/12/2025, 10:34:54 AM