嗚呼今年こそ、今年こそ三人で初日の出を拝みに行きたかったのに。
男の願い虚しく、また新年を布団の上で迎えてしまった。
目が覚めた時には身体はすっかり綺麗にされており、痛む腰と嗄れた喉を除けば……否、除かなくとも心の中はぽかぽかと温かな気持ちに満ち満ちている。
窓から射し込む柔らかな陽射しを、目を細めて暫し見つめていると、やおら障子が静かに開いた。
「おお、起きておったか」
昨晩は随分無理をさせてしまったからのう、と悪びれる様子もなく白髪の男は宣う。その後ろからひょこっと顔を覗かせた背の低い義息子はどこか心配そうにこちらを見守っている。
「……あーあ、今年も初日の出を見られなかったじゃねえか」
「来年こそは必ず見ましょう」
毎年言っているんだがな、それは。と思いつつも、三人で同じ時間を過ごせている幸せに、男は小さく微笑みを浮かべた。
1/3/2025, 11:25:54 PM