昔、天界に優秀な二人の天使がいました。
二人の天使がいれば、世界は安泰だと思われていました。
しかし、二人の天使のうち、一人は、もう一人の天使に嫉妬していました。自分と並ぶ、いや、自分よりも優秀な天使がいるなんて。
天使はある日、天界の禁止区域に立ち入りました。
禁止区域の奥には、箱が眠っていると言われていました。
その箱は、ずっと昔に、ある人間が自分を犠牲に、悪魔を閉じ込めものだということでした。箱の奥底では、犠牲になった人間の魂と悪魔が、今でも戦い続けているという話です。
その話を知っているにも拘らず、天使はその箱を開けてしまいました。
その責任を、もう一人の天使に擦り付ける為に。
そうして、再び悪魔が解き放たれ、世界には憎悪や悲嘆、苦痛などといったものが溢れてしまいました。
もう一人の天使は管理責任ばかりか、開けた犯人とまで疑われ、天界から魔界に堕とされてしまいました。
彼は、天界の光を拒絶するかのように、闇を纏いました。
それから、優秀だったその天使は魔界を納め、魔王として君臨したということです。
『秘密の箱』
10/24/2025, 10:48:08 PM