「あなたを失ってから、悲しみが止まらないの。
もう済んだこと。
取り返しはつかない。
なくなってしまったものは元には戻らない
何度だって自分に言い聞かせてきた。
でもどうにもこの悲しみは癒せないの。
どうして? どうしてなくなってしまったの?
あんなに一瞬で消えてしまうなんて、予想だにしなかった。
私はどうやってあなたを取り戻したらいいの?」
「んなもん食ったからに決まってんだろ」
劇団員よろしく悲観にひたっていた私の哀れな姿を、弟の一言が寸断した。
テーブルの上には、今しがた私のお腹の中に消えてしまったミニシューのパックの空がら。
「だっておいしくて……。あんなに一瞬で消えるなんて思わないじゃない」
「そうだな。おれの分も食べやがって」
罰としてコンビニにスイーツを買いに行かされるのだが、それも食べてしまって更に怒られるのはまた別の話。
「だって3日も置いておくんですもの」
/『やるせない気持ち』8/25
8/25/2023, 6:47:09 AM